あのキスからやり直そう
視線を交差させられない
知恵の輪のようなふたり
とぎれた時間を少しずつ
継ぎ剥いでゆくしかない
どうしてだまっているの
優しい瞳とはうらはらな
攻撃的なくちびるの形は
君がこまっているしるし
もうどこにも行かないよ
ずっと一緒にいるからね
ぼくらのあの別れの日の
あのキスからやり直そう
No.0194
050310
僕はオリジナル
もっと自信持たなくちゃ
この世にひとつしかない
僕はオリジナルなんだから
ちっぽけな存在だけど
他には見あたらない
僕はオリジナルなんだから
ときどきは消えてしまいたい
消えて解決するものならね
消える勇気などないのだけど
生きてていいんだよね
前向きでも後ろ向きでも
僕はオリジナルなんだから
No.0192
050308
そういう大人
例えば
その人は
言葉とノイズの
区別がつかない
命とプラスチックの
区別がつかない
戦争とゲームの
区別がつかない
そういう大人が
たくさんいて
例えば
その人は
自らの意志でも
自らの選択でもなく
信じないのは
信じないほうが楽だから
愛(かな)しみで充たされず
憎しみで充たされる
そういう大人が
たくさんいて
もしかすると
僕はそういう大人かもしれない
No.0191
050307
大好き
大好きな
気持ちを
大好きと
いうほかには
伝える言葉が
ないのだけど
大好きな
気持ちを
大好きと
いうだけでは
全部を
伝えきれず
どこか
そらぞらしくて
すごく
もどかしくて
ときどきは
泣いてしまう
大好きな
気持ちが
砂粒ほども
欠けることなく
あなたに
届いてほしいから
No.0190
050306
風習
長老達が車座になる
もっともらしく相談をする
収穫祭の生贄を選ぶ
父親達は運命を受け入れる
母親達は遠巻きに心配する
子供達は犠牲を名誉と教えられる
儀式を疑うことなく
村人達は尊い命を捧げ
愚かな風習をやめない
山が岩になり石になり砂になり
人殺しの道具だけが進化する
人間達はあいもかわらず馬鹿げている
No.0189
050305