生きるために不必要で大切なもの[Rental Heart Cafe self-cover] -22ページ目

触れない領域

041012

心の
端っこを掴まれている
あなたは僕の誰ですか?


嬉しいときも
哀しいときも
ずっとずっと放されない

例えば心の左下だけ
僕は暗鬱に連れ戻される
いつも全部は自由じゃない


心に
何かが起きている
もう許してくれませんか?


安らかなときも
苦しいときも
ずっとずっと離されない

例えば心の右上だけ
僕は監視されている
いつも全部は自由じゃない


心に
僕にさえも触れない
領域があるということ



No.0044
041012

gloom ~フレンチ・シネマの憂鬱~

041011

オンボロな恋愛は
なれあい
軽い嘘を
飲み込んでゆく

膝を抱えて
言葉を失くして
ふたつの
憂鬱なシルエット

sha-la-la
oh my girl
sha-la-la
oh もう一度
壊れそうな肩を
I wanna hold you again.


退屈な
白黒のシネマが
影を投げる
ノイズを落とす

字幕はまるで
足りない言葉で
ありきたりの哀しみを
追いかける

sha-la-la
oh my girl
sha-la-la
oh もう一度
破れそうな胸に
I wanna kiss you again.


君の海は
黒くくすんだ
低い雲に覆われて
突然泣き出した

僕は逃げることも
刃向かうこともできず
透明な未来を
信じてた


理由など
忘却の彼方へ
oh my girl
いつか置き去りにして



No.0043
041011

mp3
この曲を聴きに行く

041010

気がつくと
水の中だった


なぜなら
そこには


街がない
駅がない


停留所も
信号もない


だから
水の中だと思った


なぜなら
そこには


家族がいない
恋人がいない


友達も
ネコもいない


だから
水の中だと思った


なぜなら
そこには


時がない
速さがない


カタチも
重さもない


だから
水の中だと思った


なぜなら
そこには


不安がない
約束がない


うそも
裏切りもない


だから
水の中だと思った


なのに
そこには


生活をする
場所がない


だから
夢の中だと思った



No.0042
041010

彼女と彼

041009

彼女と彼は

出逢ってすぐに

恋に落ちた



彼女と彼は

シンプルな感情で

結ばれた



彼女と彼は

いつしか

複雑になっていった



彼女と彼は

それぞれ互いの

躰の一部になってしまった



彼女と彼は

絡みあった心を

もうほどくことができないでいる



彼女と彼は

言葉をあまり

この頃は交わさない



彼女と彼は

一緒にいることもいないことも

億劫だと思う



彼女と彼は

歪んだカタチに

気づけない



No.0041
041009

赤黒

041008

赤と黒
僕は選択を迫られている

次の賭けは逃げない
もう後悔するのは嫌だ


赤と黒
僕は選択を迫られている

経験も知識もなく
しかし全財産を賭ける


赤と黒
僕は選択を迫られている

マス目に仕切られて
人生はテーブルの上にある


赤と黒
僕は選択を迫られている

リミットのベルまで
せいぜい悪あがく


赤と黒
僕は決断を迫られている

さぁチップを置くんだ
むずかしいことじゃない



No.0040
041008

迷子

041007

地図がないもんで

来た道も行く道も

わからないんです


助けていただけますか?


僕はどっちへ行けば?



‥‥おかしいですよね

あなたには助けようがないですよね



名刺を落としたもんで

性別くらいしか

思い出せないんです


教えていただけますか?


僕はいったい誰ですか?



‥‥どうかしてますよね

あなたには教えようがないですよね



ひとりでは不安なもんで

差し支えなければ

ご一緒させてください


どちらへ行かれるのですか?


やはりご迷惑でしょうか?



‥‥あの失礼ですが

あなたも迷子ではないですよね



No.0039
041007

天気予報

041006

細く細くねじった
真っ黒な蝙蝠が
羽を広げる機会は
どうやらなさそうだ

天気予報は大ハズレ
まぁよくあること
目くじらをたてて
怒る必要はない

雨だといわれて
晴れたんだ
晴れだといわれて
降られたんじゃない


与えられた情報
疑問を抱かない癖
誰かのルール
自分のではない価値観

幻想と妄想と
希望と願望が
現実と失望に
変化する瞬間

思考回路の設計に
ミスがあるとは思えない
従ってはいけないの?
わざと流れに逆らうの?


およそ12行の間
僕は取り乱した
9時から5時までの
勤務時間に等しい行数

僕でない僕は
こむずかしい理屈ばかり
しかも唐突に現れて
僕である僕を拒み否む

でもだとしたら
僕は操作されているのか?
たかが天気予報だぞ
いったいどうすればいい?


残業をやめた帰り道
鮮やかな夕焼けに
包まれて思う
ちっぽけな存在だと思う

僕の中の順番が逆みたいだ
誰かのおかげで
あの夕焼けがあるんじゃない
あたりまえのことなのに

すべてを知ることは
おそらくはできないのだけど
羽を広げない蝙蝠が
すべての理由の鍵を握る



No.0038
041006

Mr.悲しみマン

041005

言葉 爆破したように
言い訳を散らかして

やがて 小さな嘘が
行き止まるの 部屋の中で


とぎれた会話の隙間に
暑い朝が訪れ

別れ決めたあとで
罪を犯した気がしてた


Mr.悲しみマン
どうしてあらわれて
戸惑いだけを置いて行くの

なんで
涙止まらない
未来がこわいから

どうしようもなく
夏が終わる



こんなにわかりあえていて
見え透いた強がりと

時計 本棚 テーブル
全部 好きな匂いがした


疲れた互いの気持ちを
踏みにじる毎日と

やがて叶う夢を
いつも秤にかけていた


もう うんざりだった
優しさを奪い合う
争うだけのひとのカタチ

きっと
暮らしになれて
時を重ねすぎて

わがままばかりを
おしつけてた



Mr.悲しみマン
どうしてあらわれて
想い出だけを置いて行くの

だって
涙止まらない
未来がこわいから

一番大事な
夏が終わる



No.0037
041005

mp3
この曲を聴きに行く

出口

041004

目がさめると

かわっていた


いつもと

同じ時間に


僕の内側だけが

かわっていた



心が

鮮明で


思考が

透明で


誰かに

触れたいと想う



トンネルを

抜けたの?


おそるおそる

手のひらを広げる


そしてどうやらと

やがて確信する



僕はつかの間

安心に包まれる


ほんのつかの間

安心に包まれる


つかの間だとは

知らないのだけど



No.0036
041004

脳のループ

041003

あしたも
あしたも
あしたも
生活が
くりかえした


きょうも
きょうも
きょうも
憂鬱が
くりかえした


きのうも
きのうも
きのうも
逃避を
くりかえした


いつも
いつも
いつも
後悔は
誰かのせい


リセットしても
リセットしても
リセットしても
こころが
治らない



No.0035
041003