迷子犬ポチ | 生きるために不必要で大切なもの[Rental Heart Cafe self-cover]

迷子犬ポチ

生きるために不必要で大切なもの[Rental Heart Cafe self-cover]-050402


なんかの電話番号が
突然記憶の引き出しから
ポロッとこぼれる
「あれ?」

そういうきっかけで
過去に飛んでゆくことが
街角の交通事故と
ほぼ同じ確率で僕にある

それは昔愛した人の
実家の番号だったり
適当に時給をもらった
初めてのバイト先の番号だったりする

たいていは
5分ほどのショートトリップ
野良犬がゴミ箱を
耳を立ててあさる時間に等しい

そして途方に暮れる
僕は帰り道が‥‥
帰り道がわからないほど
遠くへ来てしまったんだなと

いま見ている夕陽は
こんな僕の感傷におかまいなく
沈もうとして
沈んでゆく



No.0217
050402